単位数
コンポーネント1 微生物学研究:2
コンポーネント2 基礎知識講義:4
コンポーネント3 病院感染制御講義:4
コンポーネント4 病院感染制御研修
コンポーネント5 感染症診療研修
コンポーネント4+5:8
コンポーネント6学位論文指導:2(1年間あたり)
【担当教員】
教授 平松啓一
先任准教授 伊藤輝代、菊池賢
准教授 崔龍洙、馬場理、堀賢、近藤成美、内藤俊夫、三橋和則
助教 桒原京子、上原由紀、森本ゆふ、(網中眞由美、池田恵)
客員教授 渡辺治雄、Jae Hoon Song
客員准教授 岩本昭、Abinash Virk
非常勤講師 青木眞、岩田健太郎、(近藤陽子、伊藤昭、竹内史比古)
【人材養成の目的】
本大学院コースは、「大学の構造改革の方針」(平成13年6月)に基づき、21世紀COEプログラムとして、平成14年度から文部科学省の新規事業として「研究拠点形成費補助金」を受け、設置されました。
21世紀に入り、抗生物質の効かない耐性菌による市中感染の急増、タミフル耐性インフルエンザウイルスの流行など、感染症は再び人類の大きな脅威となってきました。このプログラムは、感染症の予防、管理および制御、治療に通暁した、世界をリードする創造的な人材育成を図るものです。
| 学年 | 到達目標 |
| 1 | 感染制御に必要な、免疫学の基礎を理解する。 |
| 1 | 感染制御に必要な、病原微生物の基礎を理解する。 |
| 1 | 感染制御に必要な、疫学の基礎を理解する。 |
| 1 | 感染制御に必要な、分子生物学の基礎を理解する。 |
| 1 | 研究課題を設定し、必要な理論や過去に明らかになった事柄を理解する。 |
| 1 | 研究遂行に必要な、技術や手技を習得する。 |
| 1 | 研究内容を的確にプレゼンテーションする。 |
| 2 | 研究における問題を解決する能力を習得する。 |
| 2 | 研究成果の中間解析を行う。 |
| 2 | 病院における感染制御活動に必要な、知識を習得する。 |
| 2 | 病院における感染症診療に必要な、知識を習得する。 |
| 3 | 病院において実際に感染制御活動に携わる。 |
| 3 | 各種感染症の的確な診断およびマネージメントを行う。 |
| 3 | 研究成果を英文論文にまとめ、投稿する。 |
| 4 | 学位論文をもとに、学位審査を受ける。 |
【教育プログラム概要】
薬剤耐性菌などによる感染症の再興は、地球規模の問題であり、現代医療の理想像を大きく損なっています。とくに易感染状態の患者が滞在する病院内での感染は大きな医療問題であり、この病院感染を制御し、克服するためには、病院感染を科学的な思考と斬新な手法を用いて制御し得る病院感染制御の専門的指導者の育成が不可欠です。この大学院プログラムは我が国で初めて、病院感染制御のための本格的な人材育成プログラムとして平成15年に新設されました。英国のDipHIC (diploma of Hospital Infection Control)システムを導入し、同時にゲノム科学、免疫工学、情報科学などの最先端科学の研究者をスタッフとして、感染克服のための新しい研究領域「感染制御科学」を創出し、欧米の水準を越えた教育研究プログラムをめざしています。
本拠点は、基礎実験科学と感染制御の臨床訓練を共に修める4年間の大学院プログラムとして、卒業生に感染制御科学博士(Doctor of Infection Control Science: DICS)の称号を授与します。DICSプロブラムは、日本独自の感染制御の専門家に育て、世界に発信しようという試みです。平成21年度からは、臨床医が、基礎的な実験科学と共に、感染症臨床も習得し、感染症専門医の資格を取得するコースを加えました。このコースは、総合診療科学の大学院との連携により、感染症の基礎・臨床を共に学習するコースです。
4年間の大学院コースの大枠としては、前半は基礎科学、後半は臨床科学を中心に学習します。まず、最初の1年間は、病院感染起因菌をテーマにして実験を行い、抗生物質感受性試験、無菌操作や、目に見えない微生物の安全な取り扱いに慣れ、また、PCR、塩基配列決定、分子疫学などのDNAを用いた検査手法に習熟しながら、実験を通じて、観察、仮説、実験的検証、データの解釈といった科学的・論理的な思考法を身につけます。実験は、主に微生物/感染制御科学の大学院職員がman-to-manで指導します。最速では、 2年度終了までに、院生の筆頭で、英文の研究論文を世界の一流雑誌に投稿・掲載し、これが学位論文となります。
感染制御の世界で最も本格的な教育課程としては、英国のMichael Emmersonが開設した5年間の大学院コース(Diploma in Hospital Infection Control[DipHIC])があります。大学院の感染制御研修(コンポーネント4)では、この英国の教育コースを修了し、感染制御の博士号(DipHIC)を取得したした堀賢准教授が指導にあたります。このコンポーネントでは、院生は、大学病院のInfection control team(ICT)の一員として感染制御の実践を行います。
平成21年度からは、感染制御の研修に並行して、感染症専門医を取得するための感染症診療研修コース(コンポーネント5)が設置されました。このコースは、総合診療科学の大学院のコースと連携して行われます。内藤ら、両大学院の併任准教授が指導します。
【教育プログラム】
1-2年目:主に基礎医学研究(コンポーネント1)を主体とし、細菌学や臨床微生物学を中心にbasic research scienceによる英文論文作成を目指す。また、各種の講義シリーズ(コンポーネント2、コンポーネント3)により、感染制御に必要な知識を幅広く習得する。
3-4年目:
感染制御科学博士(DICS)取得コース:順天堂医院内の感染対策室に出向し、実際の感染制御
プラクティスに携わりながら、感染対策委員会の運営、主体的に取り組んだ感染対策上の問題、教育への参加、調査の実施、アウトブレイク対応、ガイドライン作成など3編の短編レポートを提出する(コンポーネント4)。4年目の秋から冬に医学博士の学位審査を受ける。
感染症専門医取得コース:順天堂医院総合診療科感染症フェローシップコースと共通で、感染
専門医取得に必要な臨床症例の経験を積む(コンポーネント5)。病院における研修が必要でない場合は、基礎医学研究を続行する。4年目の秋から冬に医学博士の学位審査を受ける。
ICDショートコース:感染制御に従事している医療従事者、あるいは、学内の他のコースを履修している大学院生で、感染制御科学に興味のある学生については、個別相談の上、短期間のICDコースを設けることが可能である。
■ コンポーネント1 微生物学研究
大学院生は、学位論文として基礎実験科学の研究論文を提出する必要がある。微生物学、寄生虫病学、生化学、免疫学、病理学の分野で、病原体科学・生体防御科学を専攻する大学院教官の指導による実験を行い、英文論文を作製する。学位論文は、査読者による審査がある国際的な医科学雑誌や学会の学会誌に掲載されたものが望ましい。この論文が掲載されることは卒業の絶対条件であるが、家庭の事情などによる休学などの無い場合、4年の課程のうち,最初の2年くらいで論文を完成・投稿し、3年時には、論文の掲載許可が得られる。(過去の経験から)
【授業科目について】
大学院特別講義(特定):15回出席で1単位取得とする。
| 必・選 | タイトル | 日時 | 担当 |
| 必 | 研究成果発表セミナー | 毎週(火)14:00-15:00 9号館4階第一会議室 | 平松、伊藤、菊池、 崔、馬場、堀、他 |
■ コンポーネント2 基礎知識講義
コースカリキュラムにそって履修を進めるにあたり、今後必要となる必要最小限の重要な知識をミニコースとして提供する。
※免疫学特論、疫学、分子生物学は、大学院特別講義を兼ねる。15コマ出席で1単位取得とする。
時間:18:00~19:30
場所:研究室、他
■ コンポーネント3 病院感染制御講義
このコンポーネントは、系統講義および学外講師招聘レクチャーシリーズから構成される。大学院特別講義を兼ね、15コマ出席で1単位取得とする。
系統講義(7-10月に開講予定)
「インフェクションコントロールセッション」と「クリニカルセッション」に分かれ、病院感染制御および感染症に関する基本的な知識を習得することが目的である。
担当講師・日程:未定
海外講師招聘 レクチャーシリーズ
講義日程:未定
担当講師:(予定)
Dr. Jae-Hoon Song
(Samsung Medical Center, Korea)
Dr. Abinash Virk (Mayo Clinic, USA)
■ コンポーネント4 病院感染制御研修
順天堂大学付属病院の感染対策室に、Infection Control Team (ICT)の一員として参加し、実際に感染制御活動に従事する。その間、抗菌薬委員会所属のICDによる血液培養陽性症例および特定抗菌薬使用症例回診に参加し、院内における抗菌薬使用の制御(Antimicrobial Stewardship)についても学ぶ。また、一定期間、感染対策の要である臨床微生物検査室で、多岐にわたる病院感染菌の分離培養、同定を学習する。
順天堂大学付属の各病院で実践学習を行うほか、教員の指導下で、学生が過去に勤務した、あるいは将来勤務する病院においてICTの活動に参加し、outbreak調査、病院疫学などのテーマを定めた実践学習を行うことも推奨される。また、これらの学習の成果は適当な長さのレポートにまとめることが求められる※。余裕のある学生は、このレポートの代わりに、感染症あるいは感染制御に関する臨床疫学的な研究を行い、環境感染学会あるいは感染症学会に報告し、レポートに代えることができる。臨床細菌検査の分野で研究を行い臨床細菌学会などで報告することでレポートに代えることも可能である。
なお、感染制御科学の基礎研究を専攻とし、感染制御の臨床実地経験を不要とする大学院生は、3・4年時を通じて、基礎研究をさらに発展させることも可能である。この場合、希望者には、短期間の実地見学コースを個別に用意することが可能である。
※感染制御実習レポート(Reflective Portfolio)
感染制御実習レポートは、英国DipHICの教程では、リフレクティブ・ポートフォリオ(RP)と呼ばれる。RPとは、実習者が実際に遭遇した感染対策上の問題に対して、感染制御の専門家としてどのように関与し、どのような言動を行ったかを記載し、その結果について内省し(reflection)、そこからどのような教訓が得られるかを考察する。このフォーマットは、英国の感染制御資格であるDiploma in Hospital Infection Control (DipHIC)と共通であるため、DICSコース終了後同資格の受験課題として提出できる。 RPは、シラバスに指定した範囲から最低3項目以上を網羅することを原則とする。本文は、項目ごとにA4用紙に1,000から1.200語の英語で記述する(付記参照)。各項目の最後には、指導者からのコメントが附記され、実習を通して学んだ大切なポイントが簡潔にアドバイスされる。
付記
ポートフォリオは、感染制御の役割をもって参加した特定の活動についての考察を行う。具体的な例として、以下のようなものがあげられる。
1.薬剤耐性菌のアウトブレイクコントロール
2.食中毒の調査
3.手術室の導入時検査
4.感染対策委員会への出席
5.オートクレーブのテスト
6..抗菌薬マニュアルへのアドバイス
7.医療廃棄物に対するアドバイス
8.調理場の衛生点検
9.消毒剤マニュアルの検査
10.感染制御の経費増加の失敗
11.感染制御マニュアルの開発
12.ICUの感染症治療
13.HIV、B型肝炎のコントロール
14.サーベイランスシステムのセットアップ
15.スタッフのワクチンマニュアル
16.スタッフのスクリーニングと血清保存など
専門医コース
ICD制度協議会認定感染制御ドクター(ICD)
Hospital Infection Control Society認定Diploma in Hospital Infection Control (DipHIC)
■ コンポーネント5 感染症診断研修
このコンポーネントは、順天堂医院総合診療科感染症フェローシップコースと共同である。Learning Strategy (LS)のうち、1(臨床経験)、4(外部施設研修)および5(症例検討会・勉強会)によって構成される。ただし、研修期間は1ないし2年とし、その間に感染症学会専門医試験に必要な症例数を経験する。また大学院在籍中に、日本感染症学会専門医制度規約に定められた学会発表2回および筆頭著者としての論文発表1編を満たすようにする。
実際のカリキュラムについては以下も参照のこと。
順天堂医院総合診療科後期研修ホームページ
http://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/sogo/kyoiku.html#kouki
日本感染症学会専門医制度ホームページ
http://www.kansensho.or.jp/senmoni/index.html
■ コンポーネント6 学位論文指導
感染制御専門家育成コース