■感染対策を容易にする,医療従事者用ペンダント型時計“のびっち(R)”を開発

医療従事者であれば、誰しも腕時計の使用に疑問を持った事があると思います。感染対策の基本は「手指衛生」なのに、腕時計を着用したまま手を洗うと、手首が十分に洗浄されません。実際、順天堂大学の「手指衛生ガイドライン」でも、患者処置・ケア時には腕時計を外すよう推奨しています。しかし、勤務中頻繁に腕時計を付け外しするのは、事実上不可能です。
感染対策室と看護部の看護師達は、そんな悩ましい現状の解決に乗り出し、医療従事者用の時計「のびっち(R)I.C(Infection Control)」を開発しました。当初看護関係者を中心に販売された「のびっち(R)」の評判は、瞬く間に学内の医療従事者全体に広がって行きました。徹底的に機能性にこだわった商品には、次のような特徴があります。
感染対策上重要な点は、デザインを胸ポケット装着型(ペンダント型)にする事で、確実な手洗いが可能になった事。従来のナースウォッチと違い、クリップと時計がリールで繋がれているのが、この商品の最大のポイントです。45〜55cm伸縮するリールを取り付けた事で、目の高さに時計を持って行く事が可能になりました。点滴滴下数の確認や、脈拍測定のための便利な機能もついていて、その実用性は腕時計をしのいでいます。また、腕時計のようにケア時に患者の身体にあたり皮膚損傷の原因になることもなく、「のびっち(R)I.C.」は、感染対策だけでなく、患者の安全確保や医療ミスの予防にも貢献しています。
開発当初は2000個限定、しかも開発者である池田恵(ICN, COE感染制御科学大学院4年生)と照沼則子(順天堂医院看護部入院業務課長)の自責購入でした。しかし、こんな時計の出現を待っていた現場では、口コミで評判が広がり、現在は、感染対策を重視した順天堂大学の代表的な商品として、大学病院の売店を中心に販売されています。既に国内での知名度を上げつつある「のびっち(R)I.C」ですが、2007年5月の国際看護師学術集会のブースで紹介した後は、海外の医療関係者にも広く知られるようになり、遠く南アフリカからも注文のメールが届きました。
価格は4,900円。ペンダント部位に順天堂大学のロゴが入ったタイプの他、手洗いをイメージした、優しいイラストのバージョンも新たに加わりました。また、200個以上の注文の場合には、希望のロゴ、施設名を入れて提供可能です。
「のびっち(R)I.C.」のお問い合わせは、池田恵 まで。

■11月15日 バージニア大学Janine Jagger教授が来訪
日本でもすでに多くの医療施設で活用されている「Epi-Net」を開発したバージニア大学のJanine Jagger先生が感染制御科学を訪ねられました。Jagger先生とともに感染制御科学大学院生、感染対策室ICD、ICPらと共に院内の針刺し・切創対策の現状をラウンド視察しました。
−見学ルート−
外来採血室→外来処置室→集中治療室(ハートセンター)→一般病棟(内科、外科)→NICU→手術室→滅菌室→透析室→ごみ集積場の計10カ所
ラウンド中はJagger先生と参加者は活発に意見交換を行い、見学後の感染対策室ICPからの「順天堂医院の針刺し・切創対策の3年間の取り組み」のプレゼンテーションでは、順天堂医院の地道な取り組みとその成果に高い評価をいただきました。
Jagger先生からの一言で「日本ではアメリカのように法律があるわけではないのに、積極的に安全装置付き器材の導入がされていることはすばらしい。」とおっしゃられたことがとても印象に残りました。またアメリカには透析用の穿刺針で安全機能付きのものがないとのことで、安全機能付き透析穿刺針に大変興味を示されていました。
今後も,感染制御科学では、感染制御に関わる大学院生の教育だけでなく、病院感染制御の推進のために感染対策室や看護部、医療安全管理担当者などと連携した活動を行っていきます。
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